アニメファンなら、一度はその「声」に心を奪われたことがあるはず。鋭く響く低音、時に優しく、時に荒々しく、キャラクターに命を吹き込むその声の主。古川慎(ふるかわ まこと)さん。2011年のデビュー以来、多くのファンを魅了し続ける彼の魅力を、改めて紹介していきたいと思います。
多彩な役柄を自在に演じ分ける演技力
古川慎さんといえば、その“演技の幅広さ”がまず挙げられます。『ワンパンマン』のサイタマ役で見せた、感情を抑えたような無気力系ヒーローの声は印象的でした。一方で、『かぐや様は告らせたい』の白銀御行では、優等生で不器用な高校生をユーモラスかつ繊細に表現。さらに、『ヴィンランド・サガ』のトルフィンでは、復讐に燃える少年から成長した青年まで、感情の起伏を緻密に描いてみせました。
クールな役から熱血系、コミカルなキャラからシリアスな主人公まで、そのすべてに「古川慎らしさ」が宿っているのです。
キャラクターに“生きた心”を宿らせる
演技において、古川さんが真骨頂を発揮するのは「感情の奥行き」を表現する場面。特に怒りや悲しみといった強い感情を伴う演技では、思わず画面の向こうに本物の人間がいるような錯覚に陥ります。
たとえば『憂国のモリアーティ』のシャーロック・ホームズ。聡明でありながら型破りな探偵という複雑な人格を、冷静さの中に激情を覗かせながら演じる様は圧巻でした。台詞回しのひとつひとつに芯があり、キャラクターの思考や信念が声から滲み出てくるのです。
歌手としての顔――熱く、繊細なボーカル
実は古川慎さん、声優としてだけでなくソロアーティストとしても活躍しています。2018年にアーティストデビューを果たしてからは、ロックやバラードなど多彩な楽曲を発表。低音の効いた力強いボーカルはもちろん、繊細で心を打つ歌声も大きな魅力です。
アニメのキャラソンとはまた異なる、”素の古川慎”を感じられる楽曲は、ファンにとってはたまらない一面。作詞にも挑戦しており、自身の想いや世界観を言葉に乗せて届けてくれる姿に、声優とはまた違ったアーティスト性が感じられます。
インタビューやイベントで見せる素顔
ステージやラジオ、インタビューでの古川さんは、真面目で誠実な印象。演技や音楽に対する真摯な姿勢が感じられる発言が多く、芯のある人物像が垣間見えます。また、共演者やスタッフに対しても気配りを忘れず、現場での信頼も厚いのだとか。
一方で、ユーモアも忘れない柔らかさがあり、特にイベントやトーク番組では天然気味な一面を見せてくれることも。そのギャップにやられるファンも多いのではないでしょうか。
これからも進化を続ける表現者
ここ数年、主演作や大型作品への出演が相次ぎ、今やアニメ界に欠かせない存在となった古川慎さん。しかし、彼の進化はまだまだ止まりません。演技、歌、そして表現者としての姿勢。そのすべてに妥協がなく、これからの活躍にも大きな期待が寄せられています。
これまで彼の声に触れたことがない方も、ぜひ一度、彼の出演作や楽曲をチェックしてみてください。きっとあなたの中に、“忘れられない声”が刻まれるはずです。