制度

【老後2,000万円問題って本当?】成立するための前提条件9選!

年金2,000万円問題

こんにちは、黒猫のえちるですにゃ!
今日も、なおちゃんの悩みを解決してくよ。

なおちゃん

えちるー
老後2,000万円問題が一時期話題になったけど、あれは何だったの?
本当に2,000万円用意しないと老後資金が足りなくなるの?

黒猫えちる

老後2,000万円問題は、
金融庁が公表した報告書を発端として話題になったね。
正しく理解して、漠然とした不安を取り除いていこう!

2,000万円の数字根拠

2017年に行われた総務省の家計調査を母体とし、
下記3条件が一般的な家庭として計算されている。

  • 夫婦二人暮らし
  • 年金収入が月額20万円
  • 月間支出が月額25.5万円

この生活で老後が30年と仮定した場合、
毎月5.5万円の赤字×12ヵ月×30年=1980万円

老後の30年間で約2,000万円足りなくなる
これが2,000万円の数字根拠になります。

年金収入20万円の内訳
国民年金40年間納付年間約78万円の年金受給
厚生年金40年間納付(平均年収30万円)年間約85万円の年金受給
扶養配偶者年間約78万円の年金受給

合計年金受給額は年間241万円となり、月額約20万円になる

【老後2,000万円問題って本当?】成立するための前提条件9選!

老後2,000万円問題の前提条件

問題の金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」はこちらhttps://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
51ページに渡りぎっしりと、この問題について書かれているので根気がある方はご覧になってみて下さい。

1.インフレ率などの経済状況が2017年と同じであること

世の中の経済状況が2017年と少しでも違うと前提条件が崩れます。

2020年の家計調査を基に同じ計算をすると
毎月1,500円の赤字、30年間で55万円の不足となる。

どの年のデータを基にするか、
という違いでこれだけの差が結果に生じると

2,000万円という数字の信頼性はかなり低くなると言えるでしょう。

2.夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職であること

働き手が、定年後の再雇用などで定年後に再就職をした場合は前提が崩れます。

2021年4月に法改正され、
70歳までの雇用継続が努力義務になりました

よって、前提条件から外れる世帯が増加します。

3.30年後まで夫婦ともに健在であること

男性は95歳まで、女性は90歳までに他界すると前提条件が崩れます。

試算では、
現在60歳の男性の約4分の1が95歳まで生きるそうです。

このデータだけで、約4分の3の世帯は前提条件から外れます。

4.40年間共働き期間ゼロ、どちらかが専業主婦(主夫)であること

共働きの期間が少しでもあると、前提条件が崩れます。

厚生労働省発表2019年のデータだと、
専業主婦世帯582万世帯に対し、共働きは1,245万世帯

このデータだけで、半数以上の世帯は前提条件から外れます。

5.働き手は生涯サラリーマンであること

扶養配偶者が条件なので、
扶養配偶者制度がない個人事業主は前提条件が崩れます。

これから先、アメリカのように終身雇用からjob型雇用へシフトしていく可能性が高いと言われ、
大手企業は既に早期退職者の募集を活発にやり始めています。

そうなると個人事業主の割合が増え、前提条件から外れる人が増加します。

6.既婚者であること

専業主婦世帯が対象になっているので、未婚者の時点で前提条件が崩れます。

男性の生涯未婚率を見ると
1990年時点では5%程でしたが、2020年時点で25.7%に跳ね上がっています。

このデータだけで、4分の1以上の世帯は前提条件から外れます。

7.年金を満額納めていること

年金の未払い期間があると、前提条件は崩れます。

厚生労働省の調査だと、
2020年度の国民年金加入者1499万人のうち、既定の保険料を納めたのは726万人で全体の50%以下

このデータだけで、半数以上の世帯が前提条件から外れます。

8.年金の支給額が減らないこと

受け取れる年金が減ると、前提条件が崩れます。

超高齢化社会の突入に伴い
胴上げ型から騎馬戦型へ、さらには肩車型へ移行するといわれています。

  • 1965年は働き手9.1人で高齢者1人を支える胴上げ型
  • 2012年は働き手2.4人で高齢者1人を支える騎馬戦型
  • 2040年は働き手1.4人で高齢者1人を支える肩車型

これに伴い、受け取れる年金が減る可能性は高いと言われています。
コロナ渦の影響もあり、2021年度は0.1%減り、2022年度は0.4%減っています。

このデータだけでも、かなりの確率で全国民が前提条件から外れます。

9.貯蓄がゼロであること

貯蓄が全くない場合に2,000万円足りなくなるという話なので、貯蓄が少しでもあれば前提条件が崩れます。

2020年金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査を参考にすると、貯金ゼロ世帯は18.3%です。

このデータだけでも、81.7%の世帯が前提条件から外れます。

老後の資金対策が必要な人

老後資金が足りなくなる可能性がある人

  • 年金の未払い期間がある人
  • 個人事業主の人
  • 単身者の人
  • 生活水準が高い人
  • 貯蓄が苦手な人
  • 退職金がない人
  • 退職後も住宅ローンの支払いが残る人
  • 投資の勉強をしていない人

老後2,000万円問題の心配を無くす対策案

老後2,000万円問題の対策案

老後最低限の暮らしを守る方法

生活水準を上げない

老後になってから生活水準を急に下げるのは非常に難しいです。
年金のみで老後の生活を考えているのなら、若いころから生活水準をなるべく上げないように心がけましょう

贅沢費のみに貯蓄を使用

生活の基礎部分に年金を当てれば生活に困ることはありません。
貯蓄に不安がある場合は、年金の範囲内で生活して贅沢費にだけ貯蓄を使用しましょう。

豊かな老後を作る方法

先取り貯蓄をする

手取りの10%を、貯蓄用の口座に先取り貯金(天引き)しましょう。
余った分を貯蓄に回すよりも、仕組みを作って強制的に貯めることをお勧めします。
10%の根拠ですが、
2018年の生涯年収を参考にすると高卒の生涯平均所得は2.58億円です。
手取りを約2億円とすると10%を貯蓄に回すだけで2,000万円
たとえ2,000万円の不足が事実だとしてもこれだけで準備ができます。

なるべく若い頃から長期積み立て投資をする

積み立てNISAiDeCoなど、国が用意している税制優遇制度を活用して資産運用しましょう。
麻生太郎副総理兼金融担当相も「赤字になるのではないかという表現は不適切だった。更に豊かな老後を送るため、上手に資産形成をするという意味で申し上げた」と発言し、資産運用の大切さを語っています。

【積み立てNISAの運用例】
上限の40万円(月々33,333円)を米国株の有名な指数であるS&P500に連動するインデックスファンドで2000年1月~2019年12月の期間運用したと仮定すると、
元本800万円に対し、投資結果は1844.6万円。元本の2.3倍になります。
この間ずっと景気が良かったわけではなく、ITバブル崩壊やリーマンショックも含まれます。
長期定額積み立て最大のメリットである「暴落時に安く沢山購入する」ことで
年利約7.5%の利回りを出しています。

ウォール街のランダムウォーカーによると
S&P500に連動するインデックスファンドに投資すると、
1950年~20017年の間継続してリターンの年平均値は10%を超え、
どの期間であっても15年以上継続して保有していれば必ずプラスになっています。

今回は簡単に説明しましたが、
資産運用に関しては、後に特集記事を執筆したいと思います。

まとめ

まとめ
  • 前提条件をすべて満たすのはかなり難しいことから、老後2,000万円というのは万人に当てはまるものではなく「条件を満たす一部がそうなる可能性がある」ということである。
  • 「資産運用の大切さ」を国民に発信する予定だったが、違う意図で広まってしまった。
  • 足りなくならない世帯もあれば、3,000万円足りなくなる世帯もあり得る。
  • 「自分の場合」をシュミレーションし、早めに対策を立てることが大切。
  • なんで不安なのかを理解して、解決策を調べること。
  • 全てを国に頼るのではなく、しっかりと勉強して資産運用していくことが豊かな老後に繋がる。

金融庁がまとめた「人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書」では自助努力による資産形成を促しています。
積み立てNISAやiDeCoを活用しないと知らないよ?と国から圧をかけられているようにも感じます。

投資は期間が長期になるほど複利効果が大きくなるので、少しでも早めの資産運用をオススメします。
この記事をきっかけに、老後の資産運用向けて何か新しいことを始めてみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
えちる
2030年までの経済的自立を目指し、会社員、事業家、投資家として3足のわらじで活動中。 生活満足度を下げないようなバランスを意識しつつ、資産形成をしていく大切さ、そして漠然とした将来への不安の解消法を惜しまず発信していきます。